沿革:結成から現在まで
アンサンブル・セリオーソは、2008年、初代代表山内雅志の呼びかけにより、京都大学交響楽団・大阪大学交響楽団・京都三大学合同交響楽団の弦セクション首席を務めたメンバーが一堂に会して結成された弦楽合奏団です。メンバーは学生時代より、オーケストラのみならず、カフェやレストランをはじめとした様々な場で日常的に弦楽四重奏などを楽しんできたアンサンブル仲間です。これまでの経験を生かして「弦楽アンサンブルの普及」「音楽の持つ無限の可能性を多くの方に知ってもらうこと」を目標にしつつ、お互い学生時代に培ってきた緻密なアンサンブル力をさらに昇華させようと、11人(Vn6人、Va2人、Vc2人、Cb1人)の編成で新たな挑戦を始めました。あくまで音楽と真摯に向き合いたいとの思いから、「セリオーソ」をその名に冠し、2008年京都文化博物館別館ホールにて第1回定期演奏会を開催、超満員の中、私たちは船出しました。
以降、年一回の定期演奏会開催に加え、京都文化博物館オータムコンサートなど各種イベントへの出演、結婚式披露宴や学会パーティなどへの依頼演奏など、演奏の場に応じて自在に編成を変えつつ、多方面での活動を行ってきました。また、バレエや声楽グループとの合同演奏会や、ピアノ、フルート、バンドネオンといった様々な奏者との共演など、徐々に活動の幅を広げています。
メンバーは、IT系、医療系、研究者、法曹界、報道関係など様々な職業で活躍しています。それぞれの経験は、音楽の多様性や深みに少なからずよい影響を与えていると自負しています。就職や転勤などメンバーを取り巻く環境の変化に伴って、2011年頃から全国にメンバーが散らばり、定期演奏会を一旦中止せざるを得ない状況となりましたが、その後も編成を変えながら演奏活動を続けてきました。2014年には、初期メンバーからは一回り歳の離れた現役の学生オーケストラのメンバーたちが加わり、さらに多様性を増した「新生セリオーソ」が動き出しました。数年間の準備期間を経て、2018年早春、セリオーソ発足の地・京都にて第4回定期演奏会を開催し、活動を再開しました。メンバーの環境や構成の変化に応じて、子供のための演奏会など新たな取り組みにも挑戦しながら、さらに深くアンサンブル音楽を追求して、より広くより深く、みなさまに演奏をお届けできるよう活動を進めています。
理念:アンサンブル・セリオーソが目指す音楽
弦楽器は、多くのソロ作品が生み出されていることからも分かる通り、単独でも十分に音楽を作り上げることができる楽器です。更に、十分に音楽として作り上げられた「個」と「個」が、演奏の中でお互いを理解して一致した表現を目指すとき、最高のアンサンブルが生まれます。私たちは、音楽的に確立した奏者間で交わされる生の音楽的会話によってアンサンブルを成り立たせていくことを大切にしています。そのため、多人数にも関わらず指揮者をおかないという、技術的には困難な、しかし団としての個性が十分に発揮される弦楽アンサンブルの形態を追求しています。心から音楽を愛する情熱と、作曲者や楽譜と真摯に向き合う冷静さとを併せ持ち、様々な場で、聴いて下さる方と一体となって生の音楽を楽しめるような空間づくりを目指します。
今、セリオーソの初期メンバーのほとんどは、子育て世代になりました。練習にはあかちゃんを連れて参加し、お互いに順番に子守りをしながら聴き手にまわり、と試行錯誤の練習スタイルで日々研鑽を続けています。また、親子連れで聴きに行けるクラシックコンサートがあまり無い現状に、自分たち自身も直面することになりました。今は、小さな子供にも本物のクラシックコンサートを楽しんでもらえないかという視点も持って、音楽会企画を考えています。音楽の持つ無限の可能性を多くの方に知ってもらいたい。今後も、幅広い年代層の方々に楽しんでいただけるよう、私たちなりの音楽活動を進めていきます。